事務所ニュースNo.262 2014.10.1 TOPへもどる 前号 次号

相続税の調査

平成27年1月1日以降の相続税は、約4割近い増税となります。その主なものは

 ①基礎控除額が5,000万円から3,000万円に
 ②相続人1人当たりの控除額が1,000万円から600万円に
 ③税率が10%〜50%から10%〜55%に

この結果、大都市圏のサラリーマンなどの中堅所得層にも、相続税が課税される可能性が大きくなりました。小規模宅地等の特例が240㎡から330㎡に引き上げられますが、それでも相続税の申告者数は、これまでの対相続発生件数:約4%程度から倍以上になると予測されています。
これからは「相続税を納めるために住み慣れた土地建物を売却しなければならない」等「相続」が「争族」とならないように、日ごろからの対策がますます重要になってきます。

*相続税増税を控えて、税務署が特に注視しているのが以下の事柄です。

①国外財産の把握
国外財産が5,000万円以上(確定申告期限の3月15日までに国外財産調書を提出)

②海外送金の把握
1回の国外入送金額が100万円超(銀行は入送金先などを税務署に提出)

③海外居住者への課税強化
被相続人などが日本に居住している場合で、相続人が海外居住者である場合においても国内で課税

④同族法人などの株式取得
非上場の同族法人などの株式名義変更

⑤被相続人からの預金異動(名義預金の把握)
贈与税の申告をしていなければ相続財産に加算の恐れ(3年以内の贈与は税法で加算)

⑥財産債務の明細書添付の強化
合計所得金額が2,000万円を超える者は、確定申告書に財産債務の明細書を添付することになっている。

登記資料、不動産取引資料、高級車両購入資料等々、多くの資料が税務署に集められ申告が適正にされているかどうか審理され、調査対象者が選定されています。
今後、相続税の税務調査も増えてきそうです。当センターでも税務署の定期異動後(7月10日)以降、2件の調査通知があり現在対応中です。

■税務調査ではどんなことが聞かれるのか
以下、課税庁の調査マニュアルからその主なものを拾ってみました。

①被相続人の経歴
職歴、住所移転状況、出身地への接触状況、先代親族等からの相続関係

②被相続人の趣味嗜好等
趣味、嗜好、交友関係

③死亡当時の状況・病歴
発病時期、病状経過、意識の有無、入院先、事業活動への関与状況、入院期間中の給与等の受領方法、遺言等の有無

④被相続人の財産管理状況
通常の財産管理者、入院期間中の管理者、会社等における財産管理者、貸金庫の有無、備忘録・日記の有無、家族の生活費の資金源、家族以外で被相続人からの援助で生活していたものの有無、取引銀行等とその担当者名、債務の有無

⑤相続人
住所・職業・役職、相続人が持っている固有の財産の取得状況、相続人の取引銀行等

⑥遺産分割協議書
形見分けの有無、遺産分割成立までの状況、協議の回数・主宰者・立会人、相続財産把握の方法、書画・骨董の有無、各相続人の主張、未分割財産の事由・相続争いの有無、相続税の納付状況等

⑦申告者作成までの経緯
資料の取りまとめ、申告書作成者、不動産・株式・書画骨董等の評価の方法・経緯、それらの原始記録等

⑧現況確認(調査の初日に事業所、金庫、書斎、仏壇等を確認することがあります)

相続税の調査では、被相続人がどのような一生を送り相続財産を残したのかを調べるため、事細かに聞き取りが行われることになりますが、これらはすべて「任意調査」です。わからないことは「わからない」、知らないことは「知らない」とはっきり主張し、曖昧な回答は避けるようにしなければなりません。


基準地価が発表されました
土地価格の評価には、国税庁が相続税の評価額を決める「路線価」(7月1日発表)、国土交通省が調査し発表する「公示価格」(3月1日、土地取引の参考価格として使われる)と今回発表された基準地価があります。基準地価は都道府県が調査し、国土交通省が発表しています。その利用方法は「公示価格」とほぼ同じです。基準地価は公示価格より調査地点も多く、また都道府県が調査しているため、公示価格よりきめ細かいと言えるかもしれません。あなたの地域の基準地価をみておくことも今後の参考になると思います。



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