事務所ニュースNo.272 2015.11.1 TOPへもどる 前号 次号

全国税制懇話会の秋季研究集会に参加してきました。

全国税制懇話会の恒例秋季研究集会が10月18日〜19日、福岡県福岡市で開催されました。

 冒頭、全国理事会が開催され、今後の活動計画(研修や研究の強化と情報の交流・組織体制の強化と他団体との交流・会員の拡大と会員相互の交流など)を確認しました。

《税務会計研究学会理事など歴任されている山本守之税理士が初日に講演》
山本守之税理士は、役員が分掌変更により非常勤役員となったことによる退職金の分割支給に対して、「課税庁は支給遅延を理由に退職給与を認めない(法基通9-2-32の適用)とし、国税不服審判所もこれを容認した」事案について講義。
「法基通9-2-32の場合の支給時期について記述した法令、通達はない」 「支給時損金経理は、役員退職金を分割支給する場合の会計処理の一つの方法として確立した会計慣行」であるとした平成27年2月27日 東京地裁判決を強調されました。
続いて、税務調査において寄附金の課税が多発をしているが、その中には課税に納得はしないが、やむを得ず「更正処分」を受け入れている例があるとして、寄附金課税のあり方を考える講義がおこなわれました。
損金算入について、米国の税法では「通常かつ必要な経費」を損金の額に算入する要件としている。しかし日本では寄附金課税の創設が戦費調達のための立法であった事。現行法では、寄附金は反対給付がなく、個々の寄付金について事業に直接関連があるものであるか否か明確でなく、区分することは実務上極めて困難であるから、形式基準で事業に関連のあるものを擬制的に定め、これを超えた分を損金不算入とする。「資産の贈与、経済的利益の無償の供与としただけで、その支出の背景などは考えられていない」と現行税制の在り方を問うものです。

《税務行政の現状と税務の職場状況》
続いて、「職員を信頼できない」税務の職場の現状、国税通則法改正後の税務調査など、税務の職場の実態が報告されました。

《会員からの報告》
 2日目の会員報告は「マイナンバー制度 税理士事務所の対応」と題して、岡田俊明会員から10月5日施行されたマイナンバー法にかかわっての報告と、税理士事務所としての取り組みの報告がされました。
また、北海道の会員からは平成25年8月に始まった税務調査がその後、査察事件となり27年3月に告発見送りで決着をした査察事件の報告が行われました。

マイナンバー運用前から不祥事続発
マイナンバーの通知もされないうちから、不祥事が続発しています。
茨城県取手市では、住民票の自動交付機による住民票に本来記載されないはずの個人番号が、69世帯の住民票に記載されたと10月13日発覚しました。
通常は、本人からの希望があった場合のみ個人番号を記載しての発行であるが、自動発行機の設定ミスにより誤ったものです。
伝えられた取手市以外の自治体でもこのような事態があるとの報告が、全国税制懇話会秋季研修会においても報告がされています。
また、厚生労働省では、厚生労働省のマイナンバーシステム事業にかかわり厚生労働省情報政策担当参事官室室長補佐が収賄の疑いで逮捕された事件も発生。さらには、マイナンバーにことよせ金銭を搾取する詐欺事件が早くも発生をしました。甘利経済再生担当相は、記者会見で「これ(マイナンバー)が漏れたからといって、何か事案が起きるということではありません。マイナンバーを他者が知っているだけでは、どうにも使いようがないということであります。」と発言をしています。マイナンバーを扱う事業者には厳重な取扱いを求めつつも、相次ぐ国や地方自治体の不祥事や甘利大臣の発言は、自らがその理念をないがしろにしていることにほかならない。



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