事務所ニュースNo.271 2015.10.1 TOPへもどる 前号 次号

マイナンバーがやってくる(その3)

7 ) 事業主に求められるもの
適正な取扱い・マイナンバー利用の明示・マイナンバー取得の際の本人確認・マイナンバーの管理保管と廃棄

①番号の保全のために必要な措置が求められます。

②利用目的の特定、通知

③全従業員などからマイナンバーの取得が必要
事業主は給与・社会保険業務において各種手続き、書類の作成を行っていますが、これらの書類にマイナンバー(本人、扶養家族)を記載する必要があります。また、社員を採用した場合などにもマイナンバーが必要になります。そのために、全従業員(パート・アルバイトを含む)・扶養親族からマイナンバーの取得が必要になります。
*マイナンバー取得時の本人確認手続き
番号法では、事業者が個人番号の提供を受ける場合、本人確認について、なりすまし防止のため個人番号のみでの本人確認を禁止しています。
本人確認には 1. 番号確認 2. 身元確認 が求められます。
1. 番号確認は、個人番号カードあるいは通知カードにより確認
2. 身元確認は、個人番号カードあるいは免許証などにより確認
*取引先が法人の場合は、本人確認は不要と考える。取引先より番号の提供を受けるか、国税庁のホームページで検索可能になります。

④取得をしたマイナンバーの管理 (保管)
○法令による義務付けのあるもの (保管期間)
・税金関係:給与所得者の扶養控除等申告書 7年
・社会保険:雇用保険の被保険者資格取得届 4年
*マイナンバーは個人の重要な情報とひも付きになりますので、事業主や企業での管理の徹底が必要です。

⑤マイナンバーの管理 (廃棄)
・個人番号関係事務を処理する必要がなくなったとき…従業員が退職した場合等にはマイナンバーを廃棄する必要があります。
・法令で定められた保存期間を経過した場合…上記の保管期限を経過した書類 (扶養控除申告書等) は、できるだけ速やかに廃棄する。

8 ) 便利になるのか?
①より正確な所得把握が可能になり、社会保障や税の給付と負担の公平化
②真に手を差し伸べるべきものを見つけることが可能に
③大災害時における真に手を差し伸べるべきものに対する積極的支援に活用
④社会保障や税に係る各種行政事務の効率化
⑤ITを活用することにより添付書類が不要となる等国民の利便性が向上
と説明されている。

Ⅱ. マイナンバー制度のねらい

1 )個人の資産の把握
「マイナンバーが付与された預貯金情報を税務手続において効率的に利用する観点から、銀行等に対し預貯金情報をマイナンバーにより検索可能な状態で管理することを義務付ける。」改正法が成立しました。これにより金融機関等よりマイナンバーを求められます。
*銀行等よりマイナンバーの告知を求められても、法律上告知義務は課されていない。
《導入目的》
個人の所得、国内預金、国内資産を把握し、税と社会保険料の負担制度を改悪する目的があると思います。(海外資産については、国外財産調書としてすでに制度化されている)
身近な問題としては、税務調査、徴収事務への活用、社会保険料の負担能力の把握、徴収の強化、生活保護受給者等への管理強化等です。
*国民の財産とカネの流れをつかみたいのか?

2 )社会保険加入…国税から社会保険庁への情報提供
社会保険庁は国税の申告から見て、厚生年金に加入している法人数が圧倒的に少ないとして、国税との連携を密にしていると報道されています。国税の資料を基に社会保険の強制加入を実行した場合、年間12兆円の保険料収入が増加すると試算した国会議員もいます。従業員にとっては年金額が増加し喜ばしいことですが、一方、事業主にとっては税金以上の深刻な問題になります。事業継続が困難な会社も続出するものと思われます。
社会保険基礎番号とマイナンバーのひも付けは今回見送られることになりましたが、遅くとも1年半後にはひも付きになります。
マイナンバーによってやがて申告状況や納税の実態、社会保険加入状況が把握可能に。社会保険の未加入者や滞納者への行政の圧力は強まることは必至になります。

3 )税金
マイナンバーにより所得捕捉が進むか(単純ではない)。税務署に提出する書類には番号記載が義務付けられるが、源泉徴収票は、支払額 (収入 )500万超 (役員は150万) は税務署に提出されるが、それ以下の場合は市町村に提出。不動産使用料の支払調書は年間15万超が対象。支払調書は59種類あり、それぞれに提出基準がある。したがって、100%税務署に届くわけではない。
*税務署が把握できる…すべての情報を管理することは不可能
*すべての情報を管理することは可能か?

4 )利用目的の拡大
スタート当初は税分野と社会保障分野、災害に限定していますが、医療分野や旅券事務、民間への利用拡大が目論まれており、なし崩し的な拡大が考えられます。

Ⅲ. 事業者の対応
マイナンバー導入により、事業主は ①安全管理措置 ②情報管理措置 が求められる事になります。税理士事務所との関係においては、事業主より税理士事務所へ個人番号関係事務が委託されている関係です。具体的には、年末調整や申告書作成など。
事業主は委託先にも、委託者自らが果たすべき安全管理措置と同等の措置が、委託先においても講じられるよう、必要かつ適切な監督を行わなければならないとされています。(番号法11条)
税理士法人 町田税経センターにおいても、顧問先の事業主様との委託を受けて様々な個人番号関係事務を処理していくことになります。そのため 「特定個人情報取扱規定」 「特定個人情報の適正な取扱いに関する基本方針」 「特定個人情報の外部委託に関する合意書」 を作成し皆様にこれらのものを提示していく予定です。
10月より始まる個人番号通知に合わせ、10月に皆様の事業所にお伺いをする予定としていますのでよろしくお願いいたします。

「滞納相談センター」設立

 昨今、国税・地方税・社会保険料など滞納が増加をしています。滞納の原因は多様ですが、業況の悪化や消費税の増税、資金面で対応できない小規模・零細法人などに対する社会保険強制加入など、自身の自助努力だけでは解決できない滞納が数多く見受けられます。
こうした滞納者に対する徴収行政の実態は、個々の滞納者の実情を顧みないで売掛金や給料、銀行預金など、事業の継続や生活の維持に打撃を与える財産に狙いを定めて差押えをしたり、口座入金された児童手当などの差押禁止財産を差押え取り立てるという事態が起きています。また、「差押え執行中」と大きく表示をした公用車を滞納者の門前に横付けをするなどの人権蹂躙ともいえる事例さえ起きています。
こうした中で、納税者の生活権・営業権を守るために「滞納相談センター」を立ち上げました。

*本部所在地:新宿区百人町1-16-18 センチュリービル2階
*連 絡 先:港区虎ノ門1-12-1 第一法規ビル6階
TEL. 03-6268-8091 FAX. 03-6268-8092

当事務所の永沢税理士が運営委員に、吉田税理士がセンター会員となっています。



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