前代表社員長崎真人自分史
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第一部】第十一話 戦雲の下、忽ちにして一家離散(
 
第11話 戦雲の下、一家離散
 太平洋戦争が始まった翌年、春早く、姉は心に秘めた恋人・黒瀬さんを失いました。続いて内地に向かった兄は何とか潜水艦の攻撃をくぐり抜けて内地に辿り着いたようでしたが、間もなく音信不通になりました。
これと前後して、父は、国策会社として急成長の、日本アルミ花蓮港工場に転職する事になり、単身、花蓮港に赴任していきました。
 

・・・・南進基地・台湾の使命・・・・

 前々年(1940年9月)日本軍は、中国戦線の膠着状態を脱すべく、「援蒋ルート」を絶つためと称して、仏印(当時フランス領インドシナ、現在のベトナム)に進駐しました。フランスはヨーロッパ戦線でのナチスドイツとの戦いで主力を失い、日本軍の有無を言わさぬ進駐に抵抗する術もありませんでした。
日本軍の狙いは、仏印に豊富なボーキサイト(航空機の機体の材料として貴重なアルミニュームの原石)や、これも当時「血の一滴」と言われた石油等の資源を奪取する事にありました。