前代表社員長崎真人自分史
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第一部】第十四話 台湾軍に編入される(10
 
昼夜兼行のトンネル陣地構築


 基隆河に沿って走る幹線道路の東側の丘に、昼夜兼行の突貫工事で陣地構築を急いだ。山陰からトンネルを掘り進め、その先端に道路に銃眼を向けた重機関銃の銃座を作り、敵戦車軍団を迎え撃つ構えであった。

 作業は一刻を争って急がれたが、直径2メートル足らずのトンネルなので、一度に掛かれる人員は1人か2人に過ぎない。1時間に1メートルほど掘り進むのが精一杯だった。やがて山の両側から掘り進める事になった。測量機も何もない。山の上に棒を立てて目標とし、トンネルの入り口から、この棒と中のカンテラとを見通して掘り進むのである。支柱にする材木も初めのうちしかなかったので、奥へ進むに従って危険は増大する。

 
 ある日ついに犠牲者が出た。山の両側から掘って来たトンネルが、上下に喰い違ったのだ。危ないぞと思う間もなく、上のトンネルが崩れ落ち、下を掘っていた学徒兵は首まで土砂に埋まって血を吐いていたと言う。口伝えに、このニュースは兵舎内に広まったが、特別どうと言う反応もなかった。犠牲者を顧みるゆとりはなかった。戦闘が近いことを予知して指揮官も兵も皆が殺気立っていた。

トンネル陣地構築