前代表社員長崎真人自分史
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第四部】第十話 続けて父と母を亡くす()
 
 亡くなる年の春、父母は新潟の海岸に近い介護施設にいた。私は年に2回か3回か、時間を見つけて、町田から会いに行き、その都度、レンタカーで近間の温泉地に父母を案内した。

 それが最後の機会になろうとは思いもかけなかったのだが、春爛漫の時、阿賀野川沿いの温泉地に一泊した折のこと。何時ものように、誰も相客のいない広い風呂に、母を伴って全身洗ってやった。
 
 その夜半、父に起こされてみると、大変。1週間分くらい詰まっていたのが、温泉に浸かって気持ちが良かったのだろう、大変な量の黄色いものが、布団の下の畳にまで通っていた。父は、おろおろするばかり、私がすべて始末する羽目になったが、母は正に童女のよう、私にされるまま、柔和な笑みを見せていた。