税金それホント?
2014.1.6
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115.納税の猶予と換価の猶予

■納税の猶予(国税通則法46条2項)とは
 災害、盗難、病気などに起因して納付が困難になった場合、あるいは税金の確定手続きが法定納期限から1年以上遅れて確定した場合、納税者の申請に基づき、「納付困難な金額を限度として」納税を猶予する分納制度です。
 猶予期間は1年が原則です。延長しても最長2年が限度になります。
具体的にはつぎのような場合です。
 ①災害、盗難、病気、貸倒、事業上の著しい損失が生じたことなどに起因して納税が困難になった場合。
 申請期限の定めはありませんが、事実の発生の日から速やかに行うことが大事です。
 ②「法定納期限から1年以上遅れて確定した場合」とは、例えば税務調査の結果3年分、5年分まとめて修正申告を提出しなければならなくなった時、直近から1年以上前の課税年分については納税の猶予に該当します。
 この場合の猶予の申請期限は「納期限内」とされていますので、修正申告の場合は其の提出時までに申請しなければなりません。

■換価の猶予(徴収法151条)とは
 「納税について誠意な意思を有する」と認められ、かつ、一定の要件に該当する納税者に対して、財産の換価処分(公売)を猶予し、分納を承認する制度です。これは徴収職員の職権に基づいて行われる制度で、納税者からの申請制度がありません。
具体的にはつぎのような場合に適用されます。
 ①その財産を差押え・換価されたら事業の継続または生活の維持が困難になる恐れがある場合。
 ②その財産を直ちに差押え・換価するより猶予したほうが徴収上有利と認められる場合。

■滞納処分の停止(徴収法153条)とは
 納税者(滞納者)に滞納処分することが出来る財産がないときなど、一定の事由があるときに、滞納処分の執行を停止する制度です。
 処分停止の適用を受けると、3年後に納税の義務が消滅(直ちに焦熱する場合もある)します。
 処分停止の適用も納税者の申請によるものではなく、徴収職員の職権で行われます。

【換価の猶予申請制度創設】
 2014年度税制改正大綱で、換価の猶予について「納税者(滞納者)からの申請制度」が創設されることになりました。
 申請できるのは「納期限から6ヶ月以内。分納は1年以内」等制限がありますが、これまでは徴収職員の恣意的な判断で行われていたものが「納税者の申請」も認めることは1歩前進と言えそうです。
 改正は平成27年4月1日以降に納期限が到来する国税について適用されます。



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