前代表社員長崎真人自分史
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第二部】第四話 生きる道を得た出会い()
 
生きる力・人生の糧となった新しい価値観
 いろいろな事が全く新しい価値を持って私の眼前に浮かび上がってきた。
 一方、すべてを失ったと思って絶望するほどに思い詰めていた上級学校への道が、無価値とまでは言わぬが、執着するほどのものとは思えなくなってきた。
 今の社会では、むしろ大多数の青少年が自由に勉学する機会を与えられないでいる。その一方で一部の裕福な家庭の子弟のみが、生まれながらにして特権を与えられ、のうのうと選ばれて進学すると言う事は、恥ずべき社会悪ではなかろうかとさえ思えてくるのだった。
 
 固いからに閉じこもって、自分の事だけに悩み続けていた自分が恥ずかしかった。今は、周囲のすべての人々に身近な親しみを感じ、仲間意識と言うか、人類愛と言うか、深い愛情を感じていた。そして、沸々と身内から湧き出る力、生きねばならぬ、何かをしなければならぬと言う衝動を感じるのであった。

 時あたかも、「2.1ゼネスト」を目指して、日本中の労働者階級が歴史的な大結集を遂げようとしている時だった。