前代表社員長崎真人自分史
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第二部】第七話 「常任になる気はないか」と問われて?・・・()
 
アメリカ型の資本主義的大農場経営かソ連型の社会主義的共同経営化の方向か
 私が翻訳を担当していた外国の文献によれば、カリフォルニアでも、ソ連の沿海州でも、水稲栽培に既に大型のコンバインが実用化されていて、大規模な灌漑排水設備をもった広大な農場で機械化農業が進められていた。
 トラクターに引かれたプラウあるいはディスクでの深耕、飛行機からの直播、水深の調節による雑草の防除、そしてコンバインによる収穫と脱穀、これらの機械化農法に適した品種の改良、これらが一つの技術体系として完成していて、驚く事に、それが「粗放農法」との予断を裏切って、反当収量においても、日本式の篤農家的技法に劣らぬ成績を上げていた。
 
奴隷的な苦役から農民を解放する道
 日本の狭い国土では、機械化の条件が全く異なると言う意見も有力だった。しかし、日本だって結構広い平野があるではないか。すでに、水稲の直播が実験的にやられている岡山の干拓地の例もある。
 それに私が外国の文献で見つけたところによれば、傾斜地でのエロージョン(肥沃な表土の流出)を如何にして防ぐかと言う研究が、欧米では活発にやられていて、その中に「等高線耕法」と言うようなものもある。写真で見ると、日本の段々畑を一まわり大きくしたような傾斜地をトラクターが走っている。ヨーロッパの地理的条件は日本とそんなに相違はない。これなら日本でもやれるではないか。