前代表社員長崎真人自分史
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第三部】第十一話 京浜工業地帯の真っ只中へ()
 
非民主的な処分で県委員長は「活動停止」
 3月程して東京で「拡大中央委員会」が開かれ、神奈川からは私のほか2名が参加した。中央委員会は、規約を厳密に解釈すれば成立するだけのメンバーがいなかったので、「拡大」と言う事で、各県から任意の代表を参加させて開催した会合であった。

 予定の議題が終わった時点で、突然、書記長のAが「神奈川県委員長のKを活動停止処分にする」と提案した。私は驚いた。「事前に何の相談もない事で納得できない」と私は発言し、他の2名の同志も交々に「何の理由だ」「一方的ではないか」と抗議した。書記長は声を荒立てて「これは長崎の報告をもとに決定した事だ」「任務放棄に対する当然の処分だ」と言う。事情を知らない他地区の出席者が大声で「賛成」「異議なし」と叫び議事は終了した。
 
「スパイではないか」と罵倒される
 神奈川に帰って、早速グループ会議が開催された。「グループ会議」と言うのは、党外の大衆組織で活動する党員が、党員としての立場で意思統一を図る必要がある時に、対応する党機関の指導の下に開かれる決まりだ。
 党県委員会からは、新任の青年対策部長が出席した。前任のDは知らぬ間に姿を消していた。新任の部長は、顔を真っ赤にして「お前はなんだ。スパイではないか」といきなり私にぶつかってきた。

 当時の党には、意見が異なる者を極めて短絡的にスパイ扱いする、とんでもない作風があった。私は感情を抑えて冷静を装い、こう応えるほかなかった。「私は、ありのままの組織の状況を本部に報告した。実際、K同志は週に2・3日出勤してくるだけで、眼に見える活動は何もない。