前代表社員長崎真人自分史
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第四部】第九話 諸々の社会的活動に参加(つづき)(1011)
 
選挙人名簿の登録漏れで緊急の記者会見

 委員長に就任した最初の仕事は、記者会見での弁明だった。
 実はこの年の市主催の成人式で、案内状が届かなかった一人の青年から新聞社に投書があった事が発端で、新聞を賑わす大問題になった。
 毎年定時に、満20歳に達した人を住民基本台帳から抜き出して、選挙人名簿に登録するのが選挙管理委員会の職責のひとつである。案内状が届かなかったと言う事は、選挙人名簿への登録に問題があると言う事ではないかと、新聞各社が投書を大きく取り上げて記事にし、選挙管理委員会に会見を求めてきたのだ。
 
 委員長に就任して1週間も経っていなかった。事務局からの緊急連絡で駆けつけ、ざっと事情を聞いたのが会見前15分の事。私はとっさに判断して、5分間で「選挙管理委員会の声明」を起草し、急ぎ委員全員の承認を得て、記者会見に臨んだ。
 私の弁明は、「国民主権の憲法の精神に基づき、選挙権は主権者たる国民の権利として最大の尊重を受けなければならない。その選挙人名簿に瑕疵があったとすれば、それは選挙管理委員会の職責として到底許されない事。誠に申し訳ない。直ちに徹底的な調査に着手し、総力を挙げて責務を果たしたい」と言う趣旨を端的に表現したものだった。
 10人ほど集まった各社の記者からは、「是非しっかりやって下さい」と言う外、追求の発言はなく、他の委員も事務局もホッとしたのだろう、委員の1人は「名委員長、有難う」と言って私の肩を叩いた。