前代表社員長崎真人自分史
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第一部】第十八話 野の花は枯れず(10
 
「台湾の民心を得る」方向での中国の努力
  中国にとって、台湾問題は、第2次大戦の事後処理の最後に残った問題であり、日米両大国の干渉を排して、自国領土の保全を完成し、アジア全域に亘る平和的環境を樹立する上で欠かせない課題です。台湾問題は、国内問題であると同時に重要な外交問題でもあります。

 日中両国共産党は、近年、極めて密接に会談を重ね、忌憚のない意見交換を行っていますが、台湾問題と言うような微妙で重大な問題についても、率直に話が出来る関係になってきた事は喜びに耐えない事です。
 
 なかでも、3年前(2000年四月)の会談の際、日本共産党の不破書記長が、中国共産党の代表団に対して「台湾問題の解決に“一国二制度”を基本にするのは結構だが、そのためには“台湾の民心を得る”ことが決定的に重要だ」と提起した意義は大きい。
 この提起を中国側は真摯に受け止め、その後の集団的な検討を経て、台湾問題に対する言い方を、従来、「中華人民共和国は中国の唯一の合法政府であり、台湾は中国の一部である」と言っていたのを「中国は一つであり、中華人民共和国と台湾は一つの中国を構成する」と言い換える事になった。
 台湾を対等な尊重すべき相手として扱おうと言う意思の現われと言ってよいでしょう。更に、担当部門を強化して台湾問題を深く理解する事に努めていると言う事です。