前代表社員長崎真人自分史
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第二部】第八話 研究室を出て未知の世界へ()
 
 私の一文に対して、「美しき魂」第4号に大原一三君が感想を述べている。
 彼は、台北高校で同じ理科乙類のクラスメートであったが、後に文科に移り、この時期には東大法学部に在学していた。
 彼は、「原則的には賛成」としながら、私より3歳年上の人生の先輩らしく、私のひたむきな若さをたしなめるかのように、「君が戦う戦いも」ひと夫々「生き方こそ異なれ、同じ戦いが行われ得ると言う事」を強調すべきだと、批判を呈した。
 その一部を次に紹介しよう。彼の言に今の私なら「原則的には賛成」と言えるので。
 
井上(大原)一三
 僕は先号で長崎真人君の意気盛んな文章を読んだ。原則的には賛成だが不満の点も少なくない。その一つは自己の立場の余りに誇大に、相手の立場の余りの萎少に観念されている事である。詳しい事はもとより本文の趣旨ではないから書かないが、恐ろしく断言的な推断に驚かされた点が二三ある。
 「ラボラトリーの果てしないおしゃべりが…今日も意味もなく繰返されている」と言うところ等。かかる認識はある種のラボラトリーに於いては当てはまっても、だから直ちにすべてのラボラトリーがそうであると言う事はできぬ。