前代表社員長崎真人自分史
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第三部】第四話 史上空前・国電ストの第一線に()
 
第4話
 前述、この年4月4日団体等規制令が公布、5月30日には東京都公安条例で橋本金二が犠牲に、7月4日マッカーサーが「日本は極東の反共の防壁」と声明、同日、国鉄労働者3万7百人の首切り通告。
私が民青のオルグとして中野区に派遣されたのは、こう言う激動の中だった。

 国鉄労組中野電車区分会、車掌区分会がストライキに突入したのは、直接的には、定員法による大量人員整理に対する断固たる回答だった。
 
 この前年以来、マッカーサー書簡による政令201号で次々に実施された、国家公務員法の改正、公共企業体労働関係法の成立等、労働者としての基本的な権利、団結権・団体交渉権・スト権を奪った上での、首切りの強行。
 更には、戦後労働運動の主力を形成してきた国鉄労組の骨抜きを狙った、正面からの攻撃だった。

 スト決行の前夜から当日早朝まで、私は労組事務所に詰めていた。
 年配・温厚な顔立ちの分会長を中心に、組合の幹部は労組事務所の机を囲んで身じろぎもせず、始発の時間を迎えようとしていた。その幹部たちの表情に、これが労働者の神聖なスト権の発露なんだと、私は、美しいもの気高いものを見る想いでいた。