前代表社員長崎真人自分史
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第三部】第四話 史上空前・国電ストの第一線に()
 
謀略その1
 国鉄総裁下山定則氏の轢死体が、常磐線綾瀬駅近くで発見されたのは、この年7月6日。その前日の5日、国鉄当局はGHQの指示で第一次3万700人、13日には第二次6万3千人の首切りを通告。
 当局は直ちに「他殺」と断定し「共産主義者の陰謀」を臭わせる談話を発表。
 死体を検分した東大古畑教授は「死後轢断」=「他殺」との鑑定結果を発表。警視庁は特捜部を設けて大捜査陣を展開したが、最後まで「他殺」説「自殺」説が拮抗して結論が出ないまま15年の時効で幕が引かれた。
 詳しくは、松本清張「日本の黒い霧」を読んで頂きたいのだが、詳細な事実の積み重ねと綿密な分析に立って、米占領当局による謀殺を証明している。
 
謀略その2
 7月15日午後9時過ぎ、中央線三鷹駅構内を車庫から走り出た無人電車が、暴走して駅改札口と階段をぶち抜いて駅前交番を全壊させた。この事故による犠牲者は死亡6人、重軽傷20余人にのぼった。
 翌日、吉田首相は「共産主義者の煽動による」との声明を出し、翌々日には三鷹電車区をはじめ国鉄労組の活動家20名を逮捕。前記の中野電車区の分会長・温厚な人格者も何の証拠もなく逮捕連行された。

 検察は、党員9名と非党員の竹内景助と計10名の共謀と断じて起訴。