前代表社員長崎真人自分史
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第四部】第六話 型破りな事務所経営(10111213)
 
軍人勅諭を大声で唱える霧社部落・高砂族の歓迎
 全く人影のない峠道数キロの難関をようやく脱したところで、高砂族の茶店に行き着いた。居合わせた壮年の男が立ち上がって席を譲ってくれ、やおら不動の姿勢をとるや軍人勅諭「ひとつ軍人は忠節をつくすを本分とすべし。ひとつ軍人は・・・・・」を大声で唱えはじめたのには驚いた。日本人と聞いて懐かしさの余りと言う表情だったが、ここは霧社、かって日本植民地時代最後の抗日武装蜂起の舞台になったところだ。
 このコースは本番の企画からは除く事にした。
 
搭乗券代は“いくらでも良い”と趣旨に共鳴した代理店の社長が
 旅行の手配は、日本の旅行社を頼まず、すべて李先生にお願いする事にした。先生の伝で、中華航空の代理店の社長を紹介され、都内の事務所を訪問した。
 当時、解禁されて間もない日本人の台湾旅行は、台湾を「男性天国」と呼び、露骨にそれを宣伝するようなツァーが殆どだった。台湾生れの私には哀しい事。台湾にはそんな事ではなく、是非知ってもらいたい豊かな自然・人情・文化がある。日本人の仲間に、私の故郷の良さを紹介したいのだと、この度の台湾旅行の趣旨を説明すると、インド人と中国人と日本人の混血だと自己紹介したその社長は、大いに共感してくれて、チケット代は「いくらでも良い」と言う。「そんな訳には行かない」と私が言うと「では半値にしよう」と言う。