前代表社員長崎真人自分史
目次へ 前のページへ 次のページへ
第四部】第ニ話 「不惑」にして岐路に立つ(1011)
 
狙われた事務局長の椅子
 後になって知らされた事だが、実は私が藤沢支部の事務局長に任ぜられた時に、その事務局長の椅子を狙って策動していた後輩がいた。
 事務局員の給与水準は、不当攻勢との戦いに追われた事もあって、生活費ギリギリだった。私は、覚悟の上の事だったから、横浜の電器屋の経理係の当時と見れば半分近い低水準も気にしていなかったが、給与規定が年功序列で、税理士の資格の有無、職階によって段差が設けられていた事は、議論のあるところだった。

 そんなことも背景にあって、本部と支部の間、職務上の地位による上下関係も形成され、事務局員が増員されるに従って、世間にありがちな俗っぽい感覚も生じていたのだろう。
 


 私の椅子を狙った男は、若く活動的で有能な男だったが、出世欲も旺盛だった。

 私が、選挙事務所長に専念するにつれ、隙を見て私の足をすくい神経を逆なでするような行動に出るようになった。私は頓着しなかったと言うより、地位を争うというような発想が全く理解できなかったので対抗策を持たなかった。無力だった。
 これが、知らず知らずに神経疲労を蓄積する要因だったと思う。数年後に、町田の私の税理士事務所を訪ねてくれた増本弁護士が「全く長崎さんは無菌室栽培だからな」と笑っていたが、当たっていたのだろう。