前代表社員長崎真人自分史
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第四部】第ニ話 「不惑」にして岐路に立つ(1011)
 
 そんな私に不思議な影響をもたらしたのは、増本弁護士の出現だった。
 あの若さで、持てる知能を100%活かして、実に生き生きと明るく情熱的に活動し、周囲に溶け込み受容れられ、素晴らしい効果を発揮していた。

 振り返って、それまで自分が生きてきた道程と比べてみて、俄かに納得できない異質なものも感ぜざるを得ない。喰うや食わずで、ひたすら個人を犠牲にして組織を支えてきた自分のような生き方があった反面で、自分が捨てた学業の道に専念できて、資格を身につけ力量を蓄えて、それを組織に還元する。その人生の誇らしげで有意義な事。
 悔しいが、理論の優位性を認めなければならなかった。
 
生き様を変え個人を活かす道へ

 本屋の店先で、資格関係の案内書を片っ端から読んだ。弁護士、司法書士、公認会計士、中小企業診断士、行政書士、税理士等。数日掛けて検討した結果、年齢、家族環境、実績を考え税理士を選ぶ事にした。

 税理士試験は、毎年8月初旬に実施される。すでに5月になっていたので、受験準備に当てられるのは3ヶ月しかない。税理士試験を受けようと志した理由のひとつは、税理士試験の特徴として、何年かかっても必要な5科目を取れば良いと言う事があった。生活を抱えながらの受験生には、有難い特典だ。