前代表社員長崎真人自分史
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第四部】第ニ話 「不惑」にして岐路に立つ(1011)
 
休職から退職に
 私は、地位だの名誉だの金銭だの、個人的な利害には全く執着はない。そうでなければ生きて来れなかった人生。個人を没却して組織に生きる事だけを信条としてきた人生だった。
 その自分が何時の間にか、組織にとって負担・マイナスな存在にされている事に、耐えられなかった。
 3月末、所得税の確定申告期が終わった時点で退職したい旨、本部に申し出た。
 退職の理由は「郷里の両親が高齢で私が面倒を見なければならない事になった」と書いた。スッパリ辞めるには、余計な事は一切触れず、自分の個人的な理由で皆が認めやすい理由を根拠にするのが良いと考えたのだ。
 
 設立以来の本部の事務局長N氏が市議に出て、後釜に座った税理士は杓子定規な職人気質の人だったので、私の思惑のとおり別段の面談もなく退職は承認された。
 僅かな退職金が支給されたが、そっくりカンパした。

生活費をどうする?職安でのあれこれ
 4月退職してから、さてどうしようかと考えた。それまで私は、家族の事をほとんど顧みる事はなかった。子が二人、長男は10歳、長女は7歳になっていた。妻が化粧品のセールスをやって家計を支えてくれていたが、それに依存するわけには行かない。