前代表社員長崎真人自分史
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第四部】第ニ話 「不惑」にして岐路に立つ(1011)
 
奇跡・1度に3科目合格
 当日は、真夏の暑い日だった。会場の私立大学の教室は、古い木造でエアコンも扇風機もない。これも古い机と椅子をあてがわれ、周りを見るとほとんどが20歳代、学生風。私の年代はいなかった。
開始の合図と同時に、一斉にそろばんの音が鳴り響く。そろばんの計算に慣れた人達なのだろう。私はじっと問題を睨み、おもむろに論文式回答に着手する。

 終わって外に出れば、何しろ猛烈な詰め込みだったから、覚えた事は涼風と共に全部綺麗に飛んで行った感じだった。
 

 発表は12月中旬、それまでは次の学習計画は立たない。その間アルバイトをして待つ。合否の見当は全くつかなかったので、それほどの期待もなかったのに、3科目とも合格の通知が来た。

 5科目合格で資格が与えられる事になるのだが、1度に5科目合格するのは10年に1人あるかないかで、1科目づつとって5年積み重ねるのが常道。その科目ごとの合格者も10%前後の成績だから、私の年齢で、しかも僅か3ヶ月の勉強で3科目取れたのは奇跡と言うべきかも知れなかった。