前代表社員長崎真人自分史
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第三部】第十五話 悪戦苦闘!職業転々の数年 わが人生最高の体験記
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 結構、奥さん方には便利にされ、それなりに注文があった。午後からそれらを配達する。例えば醤油、一升瓶を預ってきて、樽から移して一杯にして届ける。
 大根や白菜などの重い買い物も頼まれる。閉口したのは木炭。炭俵に入ったままのは、2尺余の長さがある。それを鋸で引いて、七輪に丁度良いよう短くして届けるのだが、手ぬぐいで口は覆っても、眼も鼻も耳も忽ち炭の粉で真っ黒になる。店には風呂もシャワーも無かったから、水道の水で顔だけジャブジャブ洗って、休む間もなく配達に出る。
 魚屋の若夫婦が親切に色々面倒見てくれたのが有難かったが、年配の店長は朝からアルコールに浸っていて別に何も言わない。手ほどきも全く無い。
 これでは、先行き見込が無いと3ヶ月ほどで退散した。
 
神奈川新聞の印刷所に解版工で

 反町に、若いのに独りで印刷工場をやっていた仲間がいた。印刷工場と言っても、「手巾(テキン)」とよぶ円盤状の印刷機を手動で、名刺や小さい伝票等を印刷するだけだが、注文によっては時間に追われる。手伝って見ないかと言うので、行くことにした。
 小なりと言え、活字を拾う「文選」、並べて版にする「植字」、「組版」、「手巾」で印刷し、印刷し終えた版を元に戻す「解版」まで、一通りの工程は踏む事になる。

 3月ほどで要領を掴んだ私は、図々しくも印刷工募集の新聞広告を見て、行ったのが神奈川新聞の印刷所だった。